【雑学】初夏に美味しいカツオの話

雑学

カツオは日本人にとってなじみの深い魚で、食べたことのない人は少ないだろうと思われます。
元々、身が堅いことから堅い魚、「かたうお」から「カツオ」になったとされています。
漢字では魚へんに堅いで「鰹」と表記されることも知られています。
今日はそんなカツオの話。

初鰹と戻り鰹

もともと、カツオは回遊魚で春に北上し秋に南下します。
春に本州を通過するカツオを初鰹といい、秋に南下していくカツオを戻り鰹といいます。
春先はさっぱりとした味わい、秋口は脂ののった濃厚なあじわいとされます。

殊に江戸時代から初鰹は「初物を食べると寿命が75日延びる」などといわれて珍重されてきました。
当時の残ってる記録では、初鰹を買い求めるのに3両を要したそうです。
現代の貨幣価値に換算すると約20万円といいますから、法外な値段です。

もっとも、3両もの高値がつくのは房州沖であがって大急ぎで江戸に運ばれてくる、いわば「走り」のなかの特に早くに運ばれてきたカツオだけで、後々旬を迎えて水揚げ量が増えてくると市場価値はどんどん下がり、1尾あたり2,000円程度で手に入ったようです。
それでも見栄っ張りの江戸っ子は初物を欲しがり、初鰹を食べた後はこれみよがしに軒先にカツオのアラや骨を出していたとのこと。

同じような例では、酒の名所である灘の新酒を江戸に運ぶ競争があります。
当時は船便でいかに早く江戸に持ち込むかで勝負が決まり、1番に持ち込まれた新酒に高値がついたそうです。

それこそボージョレ・ヌーヴォーのバカ騒ぎと共通するものがあります。

日本人って今も昔も全然変わってません。

ところで、「目には青葉 山時鳥(ほととぎす)初松魚(かつお)」と山口素堂が詠んだように、初鰹は初夏の季語とされていますが、現代では漁業技術も発達しているおり、南は台湾の方までお迎えにあがり「初鰹」と称して2月ごろには市場に流通します。
同じように、北はカムチャッカの方まで漁に向かうため、戻りガツオは早くは8月くらいから年明けくらいまで流通していたりします。

要は年中流通しています。

市場の要請とはいえ、あまり季節感を失うような流通方式にも困ってしまいますね。

缶詰の材料

日本ではカツオの缶詰と言われてもピンときません。
ツナの缶詰といえばマグロと決まってるからです。
ところが、世界ではツナの缶詰というとカツオが主流です。

日本人は魚を食べる文化が長いため、マグロとカツオは明確に違う魚だと幼稚園児でも知っていますが、魚食文化の乏しい海外では「似たようなもの」としてツナと扱われています。
もっとも、茹でると堅くなる肉質から同じような扱いになること自体はわかるような気もします。

サバもイワシもサンマも全部ひっくるめて「Blue Fish」と言ったりするように、魚は海外ではあまり細かく分類されていないのです。

鰹節

日本の食卓に最も欠かせない魚がカツオである所以は鰹節にあります。
個人的には、鰹節は日本人の食に対する英知の結晶だとさえ思っています。

鰹節の作り方

鰹節の作り方はいくつもの工程を踏みます。
もっとも高級な本枯節の工程をざっくり紹介すると、
1.煮る
2.燻す(数回)
3.干す(数回)
4.発酵(数回)
 ※カビを噴射し、繁殖させることでたんぱく質を旨味成分に変化させる
です。
長いものでは完成するまでに2年もかかり、水分を徹底的に取り除かれた鰹節は木のように硬くなります。

これだけでも素晴らしい日本人の知恵なんですが、

最もすごいのは、これだけ苦労して作った鰹節を、向こうが透けて見えるまでに薄く削って、出汁を取ったら捨ててしまうことだと思います。

日本人の出汁に対する執念の凄まじさたるや。

ただ残念なことに、4のカビを付着させる製造方法がネックとなり、欧米では発酵食品の扱いになってしまうために持ち込み不可の国もあるようです。
2015年にイタリアで開催された食をテーマにした万博では、この理由で本枯節を持ち込めずに和食の料理人が苦労したなんて話もあります。

イタリア語で

蛇足になりますが、イタリア語ではCazzo(カッツォ)という単語があります。
本来の意味は「男性器」。
現在では「クソ!」とか「Fuck!」とかと同じように使われているスラングです。

いやまさか、それが理由で万博に持ち込めなかったなんて思ってはいませんけどね。

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