昔話2~はじめての契約は〇〇さん~

 これもずいぶん前の話です。っていっても、20歳の頃の話ですから、今から7年前。前回の昔話ネタが幼稚園の話ですから、どれだけとぶんだってことですね。せっかくリクエストを頂きましたので、書くだけ書いてみます。

 20歳当時は池尻新聞朝日店(仮名)で働いていました。 16歳~19歳の間にいろいろあって、住む所は無いし、自分に絶望して自棄になっていた頃です。要するに、雨風しのげる住居があれば身体でも売ってしまうような心理状態で、社会の底辺に身を落としました。

 なんといっても過酷な仕事です。朝刊の出勤は02:30。朝刊を配り終えるのが06:30くらい。次は12:00に出勤。営業・集金。15:00からは夕刊。終了後に20:00まで営業。その後02:30には出勤。

 6時間以上あくことがないんです。時間の使い方は人それぞれですが、僕は夜の仕事終了後に飲みに行って、閉店の02:00までへべれけになるまで飲んで、朝刊を配るという、無茶なスケジュールでした。BARのマスターに、

「うちから出勤する人は初めてだ」

って言われました。(笑)


そんな日々だったんですが、耐えられた一つの理由として、生まれて初めて目に見える仕事の成果があったんです。

契約。

これだけ人を酷使しておきながら、営業成績の歩合制の給料ですから、契約こそすべて。

要するに営業ができないと、給料が少ないんです。

僕が初めてお客様から頂いた契約。

”その人”は芸能人でした。

当時はあまりTVなど出ていなくて、知名度はあれど、忘れられそうな存在。

ある日の夕刊の配達中のことです。

仕事柄”その人”がそのマンションに住んでる事は知ってました。で、夕刊の配達中にばったり出くわしたんです。

偶然にも”その人”の本名を知っていた自分は、

「〇○さん、新聞とか取りませんか?」

と話しかけました。

すると、だいぶビックリした顔で、

「あ、新聞ね、取ろうと思ってたんだよ。ちょっと考えてみるね。」

と答えたんです。

ま、無理だな。と思いました。社交辞令だなと。

ところが”その人”は違いました。

僕が夕刊を配り終えるまでその場で待っていたんです。

そして一言。

「決めたよ。新聞、お願いします。」

と。

その時の契約書の控え、今では諸事情で紛失しましたが、5年くらいは宝物として取っておいていました。そこには直筆でサインが書かれていました。

翌日マンションを訪ねると本当に契約してくれました。

「H国原 H夫」

と。

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